『サメと出会ったら』

「はじめに」
ダイビングしていてよく聞かれる質問の一つに「サメは怖くないですか?」があります。
これまで人はニュースや映画やテレビやネットなどで「鮫」に関する怖い話はたくさん目にしてきたかと思います。
実際、沖縄でも過去に漁師や作業中のダイバー、サーフィン中の人がサメに襲われ亡くなった事があり、私の知識で知る限りでは確か宮古島が1番多く、子供心に一番印象に残っているのは2つ。一つはタコや魚を銛で獲る漁の最中に襲われて亡くなったケースと、漁港の中で船の船底掃除中にサメに襲われて亡くなったケースです。あと最近では同じく宮古島の砂山ビーチで23年ほど前(2000年、ちょうど私は仕事で伊良部漁港で仕事中でした)サーフィン中の本土の方が襲われて亡くなりました。
サメの種類はイタチザメ(タイガー)でした。
つい最近では糸満市のサーフィンの人気スポットで波待ち中の某高校の男性教師が足を噛まれました
(沖縄県衛生環境研究所報 第50号(2016)
#平成 27 年 10 月 26 日午前 6 時 50 分頃に糸満市大度海岸 500~600m ほど沖合で発生している.被害者は マリンツポーツ中の 40 代男性であり,右足の甲やかかと など複数箇所に受症している。男性は自力で海からあが り。命に別状はない。その後、数日の入院の後に退院し ている。地元の住人による聞取り調査では、当海岸でサ メの目撃は聞いたことがないとのことであった。サメの種類は不明であるが、専門家によると当県近海でよく見 られるイタチザメもしくはオオメジロザメの可能性があ るとのことである。」
実は私はこの方の親族と知り合いで、襲われた際に『どう対応したか?』を聞いていますので後ほど参考に書きます)。

(撮影2022/10/22恩納村ポイント「ホーシュー」カマストガリザメ

「鮫の種類」
鮫にはいろんな種類がいます。
まず世界に鮫の仲間は、エイの仲間などとともに軟骨魚類というグループに属し、一般の魚類(硬骨魚類)とは区別されています。
1000種前後を数える軟骨魚類のうち鮫の仲間は約553種です。(2020年11月時点では世界中に9目36科106属553種が存在し、日本近海には9目34科64属130種が認められています)。
そのほとんどはダイバーやシュノーケラーに対して危険はありません。
なぜサメと呼ぶのかは日本古事記に「小さな目」とかの記述から、と説明されているようです。なぜ「鮫」と書くかは、これは有名な話ですが魚類で唯一、交尾する魚だからだそうです。
サメはカメと同じでメスが体内に精子を保有してるので、(つまり「無性生殖(単位発生)」が可能で2007年にシュモクザメが、2008年にカマストガリザメがそれぞれ単為生殖で妊娠出産した)自身で妊娠する事が可能だそうです。
「セルフ妊活」は凄いですね。

「沖縄のサメの種類」

・ネムリブカ

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(2023/1/10.撮影場所・慶良間諸島・チービシ(ナガンヌ南)・シャークスクランブル)

沖縄に生息するサメは有名なのはダイビングで見るサメの中では必ずと言っていいほどよく遭遇するネムリブカ、別名「ホワイトチップ」がポピュラーですね。
よく「ホワイトチップは人を襲わない、おとなしいサメだよ」と他のインストラクターの方が説明しているのを聞きますが、「時と場合」が重なると余裕で噛み付いてきます。
なので私は必ず、ホワイトチップを説明する時、それを話します。
商売上、雰囲気的、また利益を考えたら必要以上にお客様を怖がらせてはいけない事は十分承知してます。
でもゲストの事を大切な存在だと仲間だと思っているからこそ、あえてタブーも、注意すべき点も伝えます。

・カマストガリザメ

(2022/12/17.北谷町砂辺No.2)
さて、話がそれましたが、「沖縄に生息するサメの種類」他には「カマストガリザメ」がいます。
ホワイトチップの次にポピュラーです。
沖縄の景勝地に「万座毛」というのがあり、その崖の下のポイントによくいます。

・レパードシャーク

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(2003/05/05、渡名喜島・なかるま)
和名は虎斑鮫、トラフザメのことです。
砂地によくいます。

・イタチザメ(タイガーシャーク)

(2022/02/10久米島.仲泊。私とタイガー)

(同じく久米島、タイガーをさばいたら胃の中から青ウミガメとアカシュモク(ハンマー)が出てきた)

イタチザメはオオメジロザメと並んで結構あぶない種類のサメです。
サメは餌を捕獲するまでに聴覚→嗅覚→視覚の順で対象を確認して噛み付く(襲う?笑)そうです。
サメからしたら噛み付いて確認、人間からしたら襲われる、となります笑。
よく人間が鍋の時に菜箸で好みの具を探すように、サメも同じ感覚なのかもしれません。
サメの鼻先の孔の奥にはゼリー状物質が詰まったロレンチーニ器官と呼ばれる感覚器官が存在しますがここで情報を得るそうです。でも中でもイタチザメとオオメジロザメはとにかくなんでも噛みつく性質が強いそうです。
その理由はタイガーシャークもオオメジロザメもサメの中では生物学的に男性ホルモン「テストステロン値」が異常に高いのが原因と言われているそうです。
サメに憧れる人が結構いますが、それはそのフォルム、姿形とこの男性ホルモンが異常に高い生物だから、という研究結果が外国で解明されているそうです。
結構、女性や女性に近い性質の男性に人気なのはその辺かもしれません笑。
私なんかは全くではないですが、ダイビングする上でサメにはそれほど興味はないです。どちらかというと海の生き物は全般に平均して好きです。特にマグロとかウニ、サーモンが笑。

・オオメジロザメ

(2019年7月7日付け琉球新報より)
先ほども説明しました、近海では滅多に遭遇しませんが危ないサメです。
滅多に遭遇しない、と書きましたが、実は那覇市内の安里川、国場川では上流の方まで遡ってきた事があります。ホホジロザメと同じく北谷町のビーチでも何度か確認されています。
なので私がこれまで参加した潜水作業では、特に那覇港とかの場合は必ず海中に「シャークゲージ」をクレーンで一緒に沈めてくれました。
いきなり後ろから「パクッ!」と噛み付くなんて怖いですね。

 

(2022/4/22南大東島、潜水作業にて私)

・トガリサカタザメ

(写真は空港近くのDMMかりゆし水族館)

「サメ」と名前がついてますが、実はエイの仲間だそうです。サメ、エイの見分け方のポイントはエラ孔(えらあな)が腹面側に開くとエイの仲間となるそうです。人を襲った話は聞いた事がありません。
慶良間諸島・チービシなどでよく砂地にいます。
スコップじゃなくてシャベルの形のような頭をしてます。

・ジンベイザメ

(2022/11/23・撮影場所・読谷村都屋、ジンベイツアー)
ご存知、ジンベイザメ。人を襲う事はないです。
沖縄本島読谷村沖の海中生簀内で飼育されていて生簀内外でのスキューバダイビングおよびスノーケリングが可能です。

・ホホジロザメ

(美ら海水族館のページから)
ホホジロザメと他のサメの違いをすぐわかるようなポイントはこの西欧のオッチャンみたいな体型です。
お腹出てるけど足が細い、見たいな。トリスウィスキーのマスコットみたいですが、そのおかげでサメの中では俊敏で海面から飛ぶ映像が有名です。
サメの中のキングとして形容される事が多いですが意外と神経質でまたサメの中では対応力も弱く、常に動き回らないと呼吸できないサメの代名詞みたいなようです。なので人工飼育が非常に困難で、美ら海水族館では過去に飼育中に死んでいます。
サメは全般的にそうですが、千葉の館山のシャークシティーのように餌付けした世界中の有名なポイントではダイバーに近寄ってきますが、自然界では「口から泡を出す生物」「音を立てる生物」から逃げます。
特にホホジロザメやタイガーシャークはシャチの格好の餌なので、泡を出して集団で襲ってくるシャチ(洋名whale killer)が天敵となってます。
ダイバーも泡を出します、ね笑。しかもエントリーの時に大きな音も立てます。そしてサメが1番苦手な電磁波を出すライトやカメラや、磁石を備えたスレートやオクトパスホルダーを身に付けています笑。

それらは全て、先に書いた「ロレンチーニ器官」、これは詳しく書くと、実はサメの頭部には小さな穴が点々と開いており、その奥にはゼリー状の物質が詰まった筒状の構造が存在しておます。これがロレンチーニ器官です。ゼリー状の物質はケラタン硫酸(グリコサミンの仲間)と考えられており、これにより、100万分の1ボルトという極小の電位差を感知でき、例えば、これで筋肉が発する微弱な電流を感知するなど、食物を探す方法の1つとして利用するそうです。
このように敏感な感覚器なので、例えば乾電池などを海中に投入した場合には速やかに放電が起こるが、あまりにも近くで放電されるとサメは驚いて逃げてしまう場合があるわけです。
という事は!?
サメ好きな皆さん、与那国や神子元、トライアングルに出掛ける時は、サメのためにもカメラやフラッシュは持参しないで潜りましょう!
それが本当のシャーク・ラブですよ🦈❤️笑
(無理っ!)

さて、ロレンチーニ器官、この器官は1700年代後期にイタリアのステファノ・ロレンチーニ(英語版)によって発見され、彼の名前にちなんで命名されたそうです。
イージーやな。

結局「サメに出会ったら」が書けなくなりましたので、次回「サメに出会ったら2」に回します。
ほとんど下のサイトの翻訳と知人たちから聞いた話、そして私の経験が元です。
What to do if a shark approaches you, according to an expert