「サメに出会ったら」

‥‥前回より続き

沖縄に住むいろんなサメの説明とサメの特性は前回説明した通りです。

やはりダイバーとして気になるのは「サメと出会ったら」。
結論から言うと、サメと出会ったら慌てずに刺激しない事が1番です。
ただ、出会う前までに注意すべき事がいくつかあります。
まず、魚などを獲って漁をしながら潜水もしくは水中を泳いでると確実にサメに襲われます。
「サメに出会ったら1」でも書きましたが、漁師さんが襲われるケースのほとんどがそれです。
サメは視覚が弱い反面、嗅覚器官が発達してるので1キロメートルからでも一滴の血の匂いを嗅ぎ分けるそうです。なので魚を銛でついた後に引いて泳いでいると危険なのは当たり前です。
一般的に言われている事は怪我したり、生理中の女性、カメ(スッポン)を食べた後、襲われやすいと言われています。
光り物にも反応します。
反面、縞々模様には弱いそうです。
「目に瞬膜を持つ種類がいる。深海ザメでは少ない光を有効活用するための輝板(タペータム)という構造を持つ。深海ザメの目が光って見えるのはタペータムがあるためである。サメ類は警告色である白黒の縞模様を嫌う」
よくガイドダイバーでゲストに目立つように「フィンをしろと黒の縞々模様」にしてる人がいますが、サメはこの「黒と白の縞々」をとても嫌うそうですので、サメを追い払うためには良い方法です。
実際にオーストラリアでは大学と企業が10年前から黒と白の縞々模様のウエットスーツとボードが販売され、効果を上げているそうです。https://www.afpbb.com/articles/-/2956627?act=all&pid=11053535

実際に「サメは海蛇が嫌い」を証明する面白い映像があります。研究者がサメの記録動画を撮るために仕掛けた罠に海蛇が先にクンクンと匂いを嗅いでいるとサメが寄ってきて「パクッ」。ところが海蛇とわかると「ウゲッ!」と吐き出します。たぶん匂いと濁りで縞々模様が見えなかったんですね笑。あとサメはシャチが天敵で、YouTubeなどではホオジロザメがシャチにパクパク食べられている動画とかありますので、やはり白黒縞々はサメよけには良いんでしょうね。
なのでオーストラリアの大学と企業が開発した「縞々模様のウエットスーツ」と「サーフボード」も、魚の匂いを身につけていたら効果ないかも、、、、そんな人はいないか?笑

ここに興味深い資料があります。
フロリダ自然史博物館の「国際サメ襲撃ファイル(ISAF)」によると、人が挑発行為を行っていないにもかかわらずサメに襲われたケースは2021年に世界で73件しかなく、また挑発した結果襲われたケースもわずか39件だった。
「サメを挑発」なんて論外ですが、ダイバーも慣れてくると、意外にそのタブーを犯しやすいものかも。
続けて、
「世界の人口は80億人に迫り、多くの人が海岸近くに住んだり、海岸で休暇を過ごしているにもかかわらず、21年に人がサメにかまれたケースはわずか112件にすぎない。サメに襲われるよりも溺れ死ぬリスクの方がはるかに高い。」

世の中にはサメに餌付けするダイバーがいる事を少し耳に挟みます。これも挑発行為の一つで、間違うと怪我では済まないことにつながります。
また、釣りをしている人のいる場所(先述した万座毛の下)や、船釣りしている船の近くに行くと確かにサメがダイバーを恐れずに近寄ってきます。
また河口付近もサメの餌となる魚が豊富で危険です。
イギリスのシャーク・トラストやサメ保全協会の元会長でもあるリチャード・パース氏は「水が濁っていることが多い河口は、オオメジロザメが好むエリアだ。このサメはホホジロザメやイタチザメと並んで人を襲う可能性が特に高い。」
サメは視覚が弱い。これも先述したように、サメは視覚が弱いために臭いを嗅ぐ能力や相手の筋肉の動きから発する電磁波をキャッチするロレンチーニ器官が発達している。
なので近くにあるものは「なんだろう?」と確かめるために噛む。
サーファーがカメに間違えられたりするのはそれが理由です。
あとサメと遭遇したら慌ててバタバタと動き回ると、サメは弱った餌だと思い噛み付いてきます。
基本、ダイバーを餌だと思い襲ってくる事は百パーセントありませんが、BCの中に貝を入れていたり、魚を誘き寄せるための餌を入れていると、それに釣られてサメがやってきて襲われるケースは多いです。

以上、「水中でサメに出会ったら」を終わります。
くれぐれもサメに狙われるような「自損行為」は避けることを忘れないでください。
あと、どうしてもサメが向かってきたら、よくホオジロザメやタイガーシャークと遊んでいるこの女性の言う通り、サメの鼻を刺激することです。